お客様の中にもの凄くまつ毛が長い女性がいました。
かなりご年配なのにマツエク?!
と思い、思わずじ~っと見つめてしまったほど。
話を伺うと「まつ毛が伸びて困るから自分で切っているの」と。
今まで生きてきた中でまつ毛をカットしているという人を初めて見ました。
この方のまつ毛が伸びていた理由。
それは「緑内障の目薬」によるものだったのです。
目次
緑内障とは?
目には前眼房(角膜と虹彩の間)と後眼房(虹彩と水晶体の間)に房水(ぼうすい)という透明な液体が一定量の割合で常に排出されていて、水晶体や角膜に栄養を与えています。
眼圧を保つためには、この房水の作られる量と排出される量が一定に保たれていなければなりません。
しかし眼圧は常に一定ではなく、正常な眼圧は1日5mmHg以内の変動があると言われています。
日本人の正常眼圧は10~20mmHgと言われていますが、この眼圧が異常に上がってしまうことで視野が狭くなる病気が「緑内障」になります。
治療が遅れると失明するとも言われていますが、進行はゆっくり。
少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。
両眼が同時進行で悪化していくことは稀なため、かなり進行するまで自覚症状はほとんどないと言われています。
そのため中高年になった症状が出ていなくても定期的に眼科検診を受けることが必要です。
緑内障の目薬とは?
緑内障の治療にはさまざまな目薬が使われますが、その中でも特にこの「房水」の排出を促すタイプで眼圧の降下に有効と言われているプロスタグランジン系の点眼薬があります。
・ルミガン(ビマトプロスト)
・トラバタンズ(トラボプロスト)
・レスキュラ(イソプロピルウノプロストン)
・キサラタン(ラタノプロスト)
・タプロス(タフルプロスト)
などがあります。
これらの点眼薬は目への副作用として
・虹彩への色素沈着
・まつ毛が増える
・まぶたが黒ずむ
・上まぶたがへこむ
などがあると言われています。
最近、この副作用である「まつ毛が伸びる」という効果から、ルミガンなどの点眼薬を個人輸入し、綿棒などでまつ毛につけるという方法をされている方がいますが、注意が必要です!!
プロスタグランジンとは?
緑内障だけに効果のある物質と言うわけではありません。
プロスタグランジンは、特に女性の生理周期に合わせ分泌されているもので、女性の月経になくてはならないホルモンです。
子宮内膜から分泌され、子宮収縮を促すことで経血をスムーズに体外に出す役割があります。
生理前にプロスタグランジンの分泌量が増えますが、過剰分泌してしまうと頭痛や腰痛、吐き気などの生理痛が悪化すると言われています。
逆にプロスタグランジンの分泌が少なければ生理痛がほとんどないこともあるようです。
プロスタグランジン製薬のなかでも妊娠・出産に関わるのが「プロスタグランジンE2」と「プロスタグランジンF2α」の2つです。
どちらも子宮収縮を促す作用があるため、分娩をスムーズに進めるために活用されます。
実は緑内障薬として使われるPG点眼薬は全て「F2α」由来です。
そのため子宮収縮作用(流産のリスクが高まる)ので妊婦には使用しないように薬の注意書きに記載されています。
また、生理痛がひどいときはプロスタグランジンの分泌を抑える薬が処方される場合もあります。
プロスタグランジン系の点眼薬を長く使用している人には目の充血のほかに、まつ毛が長くなる、虹彩やまぶたの色素沈着という症状以外に、慢性的な頭痛や生理痛の要因となっている場合が少なからずあるようです。
実際、プロスタグランジン点眼薬を中止してみると、頭痛が治ったり頭が重くて肩がこりやすかった症状が緩和される場合があるようです。
セデスやバファリンなどの多くの痛み止めや頭痛薬はこのプロスタグランジンを抑えて鎮痛効果を得ているのです。
まつ毛の美容液にも入っている?!
今までに「まつげが伸びる」と話題になったまつげ美容液に「ルミガン」や「ケアプロスト」「ラティース」「リバイタラッシュ」があります。
実はこれらの商品には、このプロスタグランジンという成分が入っています。
※リバイタラッシュは、発売当初のもののみで、現在は改良され、入っていないようです。
「まつ毛の美容液を使用すると色素沈着する」と言われてきましたが、実はこのプロスタグランジンによるものだったのです。
プロスタグランジンを含まないまつ毛の美容液
ラピッドラッシュに含まれる「イソプロピルクロプロステネート」という成分や、リバイタラッシュに含まれる「デクロロジヒドロキシジフオロエチルクロプロスタノールアミド」という成分はプロスタグランジンと同等の効果を持っていると言われています。
プロスタグランジンを含まないまつ毛の美容液があります。
それがこの「ジャンマリニ マリニラッシュ」です。
いくらまつ毛が伸びるという副作用があるからと言って、点眼薬などを個人輸入しての代用は、他の副作用を招きかねないためおススメできません。
色素沈着をはじめとする副作用が気になる方は、このような配合成分に気を付けて購入されることをおススメします。