「髪を梳(す)いて減らしてほしい」
というオーダーをされるお客様は多いです。
しかし「髪が多い=梳くと量が減って収まる」と、考えがちですが、実はその行為は余計髪が広がる原因を作ってしまっている場合があります。
「え?私ずっとそうしてきたけど」
「梳くと収まるわよ?」
と、思う方もいると思いますが、梳いたらそのまま伸びてくるわけですからずっと収まっていていいはずですよね?
しかしカット後数日経つとまた広がりが出て来てしまったりはしていませんか?
確かに毛量が減れば一時的に収まっているようには見えますが、それは一時しのぎにしかなりません。
それでは「梳いても広がる髪の対処法」はどうしたらいいのでしょうか?
目次
くせ毛で毛量が多い人
くせ毛でしかも毛量が多いと余計梳きたくなりますよね?
ですが、梳く前にちょっと待ってください!
くせ毛は、短ければ短いほど、余計うねりが出て広がってしまいます。
「梳く」というのは「=短い毛を作って長い毛の量を少なくする」という意味です。
確かに長い毛の量を減らすことで、一見まとまったように見えると思います。
しかし梳いて作ってしまった短い毛は長い時より確実にうねりやすくなってしまいます。
梳く方法
●梳きバサミ
スキ率5%~80%程度の物までがあります。
100均などで売られている梳きバサミは大抵25~30%と言われています。
スキ率とは、最初の毛束量を100%とした場合、スキ率10%は10%分の毛が切れ、90%分の毛が残っているという状態になります。
80%の物だと80%が切られ、20%しか残りません。
と、言うことでスキ率は高いほどいっぱい短い毛を作ると言うことになります。
●レザー
髪の毛用のカミソリのようなもので髪を「切る」というのではなく、「削る」という感覚です。
梳きバサミは、ところどころに短い毛を作って毛先の量を少なくするのに対し、レザーでは毛先を削って少なくします。
削ることで、ハサミで切るよりは自然な感じになりますが、デメリットとしては毛髪を斜めに縦裂(斜めに裂くため)髪を傷つけることになり、傷みやすくなります。
切断面が斜めと言うことはその分、髪の中身が漏れ出しやすくなってしまうのです。
昔はその自然さからレザーカットが流行った時期もありましたが、最近では「髪が傷む」「引っ張られて痛い」などの点からレザーカットをされる人は少なくなりました。
●ストロークカット・スライドカットなど
髪をカットの途中やブロー後最後の毛量調節をするため、ハサミを滑らせながらカットしていく技法です。
ストロークカットとは、毛束を持ち上げ髪の下側の毛先から根元に向かう、または根元から毛先に向かってハサミを滑らせ細かいカットを入れていく技法です。
毛先に行くに従いボリュームが収まるため丸い印象を作り出すことができます。
スライドカットは髪の外側の毛が短く内側が長くなるためボリュームが収まりやすくなります。
このような技法は普通のハサミを使っていますが、パツンと切っているわけではないので、より自然感が生まれます。
そして細かくハサミを開閉しカットをするため、レザーで削ぐより髪の損傷はありませんが、ハサミの切れ味が落ちていたり、ただの見せるためだけの技では削いでしまう恐れが多分にあるため髪を傷める恐れがあります。
対処法1:髪は梳かずに縮毛矯正をしましょう
くせ毛で毛量が多い人への対処法としては、まずクセ対策をおススメします。
くせを抑えストレートにすることで広がりは抑えられます。
そして梳いていないことにより、髪の重さが一定になり、うねりもなくなるため量の多さが気になりにくくなります。
対処法2:髪型チェンジ
髪型によっても広がりやすい髪型と広がりにくい髪型があります。
レイヤーやグラデーションなどの髪に段差がついた状態広がりやすい髪型です。
表面が短ければ短いほどボリュームは出やすくなります。
短くするなら内側を短くし、内巻きカットなどで髪は外側に広がらず内側に収まってくれます。
対処法3:梳き方
理美容師さんにより、同じ「梳いてください」と言っても、同じ「梳く」にはなりません。
梳き方は人それぞれあり、カット料金の違いによっても梳く方法が違う場合があります。
値段が安い場合、時間との勝負的な場合もあるため、より早く梳けてあればいいというカットになります。
梳きバサミのスキ率が多いハサミの使用で梳きまくれば、時間も早く梳けます。
しかしストロークカットなどにより毛量を見ながら梳く場合、その分時間もかかり安くはできません。
その点が値段の差となります。
また、梳きバサミの入れ方も、真横に入れると短い部分も真横にそろってしまうため、広がりが抑えにくく違和感や変な揃い感も出ます。
自分で梳きバサミなどを使い梳く場合、毛束を横ではなく縦に取り、ハサミも縦に入れることで短くなる毛に変な揃い感もなくなり、不揃いにさせることで広がりが抑えられます。
対処法4:表面は梳かない
どうしても毛量調節をしたい場合、髪の表面ではなく内側を梳くと良いでしょう。
表面に短い毛が出ないため広がることなく髪をまとめられます。
対処法5:乾いた状態で梳く
濡れた状態で梳いてしまうと乾かした時に余計広がってしまう場合があります。
濡れている髪は梳きやすく、一見収まった感が出ますが、乾かしてびっくり!余計広がってしまった…なんていうことがあります。
特にくせ毛の場合、そのようなことになりやすいため注意が必要です。
梳くなら乾いた状態で、できれば梳かずに髪の長さで収まるようにカットするか、もしくはストロークカットなどで髪の流れなどを見ながら毛量調節すると広がりが抑えられやすくなります。
直毛で量が多い人
直毛だったら梳いても短い毛がうねらないからたくさん梳いてもいいのでは?
と、思いがちですが、実はこの場合もちょっと待ってください!
カットすることの意味は毛の切断面を作ると言うことです。
量が多いからいっぱい梳く=いっぱい切断面ができてしまうことです。
髪は切断面ができるとどうなるか?
切断面にはキューティクルがありません。
なので髪の内部が表に現れてしまっている状態です。
関連記事:【髪の毛先はなぜ細い?】毛先が細い5つの理由と薄毛の関係とは?
切断面から日に日に間充物質が漏れ出してしまい、細くなっていくのです。
すると髪はどうなるか?
カット後数日経つと「あ!馴染んできた」と感じるかもしれませんが、それは毛先から間充物質が抜けだし細くしぼんで馴染みやすくなり、まとまりやすくなってきた証拠です。
しかしその後はどうなるか?
というと、パサつきが目立つようになってきます。
いっぱい梳く=毛の長さのあちこちに短く広がる毛が発生すると言うことです。
アホ毛が浮いて困る理由の1つもこれが挙げられます。
対処法1:トリートメントをしっかりする
髪は乾燥していて水分量が少なくても広がりやすくなります。
洗い流す&流さないトリートメントの併用で、間充物質をしっかり補って上げていると広がりにくくなります。
対処法2:髪型チェンジ
髪の量が多いからではなく、髪型により広がってしまう場合があります。
例えば肩につくくらいの長さの場合跳ねやすくなってしまったり、表面にレイヤーがたっぷり入ったスタイルなどは広がりやすい場合があります。
また髪を梳くのではなく、軽い感じにカットすれば、あえて梳く必要はありません。
髪を梳かなくてもまとまりやすい髪型にチェンジするのも対処法の1つです。
梳いても広がる髪の対処法としては、あえて梳くのではなく、カットによる対処が向いています。
髪型のチェンジや、梳き方の方法により広がりが抑えられます。
「髪の量が多いから」と安易に梳くのではなく、梳いてしまってからでは短い毛ができ、その毛が伸びるまでの数か月が無駄にならないように、一度よく考えてから髪の広がり対策をしてください。