この記事を読んでくださる方に質問です!
「髪はどの部分が伸びていると思いますか?」
髪の毛は頭皮を流れている血液から栄養や水分などを得て伸びています。
しかし植物のように髪の毛全体が細胞分裂を繰り返すことによって伸びていっているわけではありません。
なので髪の毛が長くなると毛先まで栄養が行き届かなくなるから、パサついてくるというわけでもありません。
植物は伸びた先端が一番若いですが、人間の髪の一番若い部分は実は根元なのです。
血液により得られる栄養分などは、根元の部分のみです。
あとは死んだ細胞なので再生力もなく、いくら栄養を摂ったからといって毛先が潤うわけでも太くしっかりしてくるわけでもありません。
栄養を摂って元気になるのはこれから生えてくる髪の毛のみなのです。
ここで疑問に思われる方はいませんか?
じゃあ「お菊人形(髪の毛が伸びると有名な日本人形)はなぜ髪が伸びているのか?」
髪の毛は根元しか伸びていないのに、栄養も摂れない人形の髪がなぜ伸びているのか?
本当に魂が乗り移るなどのオカルト的な理由で伸びているのでしょうか?
目次
お菊人形とは?
出典:月間ムー公式ウェブ
「お菊人形」はその昔から「髪の毛が伸びる日本人形」として有名なものです。
実際に伸びた写真などもあり、ホラー番組などで何度も取り上げられています。
北海道の岩見沢市にある「萬念寺」に安置されているその人形は、身長40cmほどある市松人形。
流行り病で命を失ってしまった娘「菊子さん」が大事にしていた人形ですが、ある時仏前に供えてあったその人形の、おかっぱに切りそろえられていた髪が肩まで伸びていたことに気づきます。
両親は驚き、「日本人形に菊子の霊が乗り移った!」と信じ、そこから一躍有名になったお話ですが、現代ではその理由が判明されています。
理由1:髪は水分でも伸びる
濡れたままの前髪をちょうどよく切って乾かしたら、ちょうどよく切ったはずの髪の毛が上がってしまい短くなり過ぎた!
なんていう経験をしたことはありませんか?
実は髪の毛には水分が含まれると伸び、乾くと縮むという性質があります。
しまっておいた人形の髪の毛も室内の湿度により伸び縮みをしているため、揃えて切られてあるはずの髪の毛の毛先がバラバラになってしまった。
なんていうことはあり得る話です。
ですが、湿度では実際のところ伸び続けていくわけではありません。
多少の誤差が出る程度です。
理由2:接着剤に育毛効果
出典:馬場健商店
使われている接着には「にかわ」というものが使われているそうです。
この中には育毛を促す成分の「コンドロイチン」が含まれているため、伸びることがあるようです。
ですが、それも多少の話だと考えられます。
なぜなら、人形に使われている髪の毛には毛根がありません。
前述したように毛先が伸びているわけではないため、毛根がない髪の毛がそれほど伸びるわけではないからです。
理由3:植毛方法
日本人形は髪の毛をU字にし、真ん中を糸で縛っているものが使われています。
それを人形の頭に開けた穴に植えて「にかわ」で固定しているそうです。
そのため、使われている髪の毛の長さは、生えている髪が10cmの場合、約倍以上の毛が使われていることになり、約20cm以上の髪が2つ折りになって植えてあることになります。
そのため、この接着成分である「にかわ」が劣化したり、丁寧なお仕事をされていなかったりすると人形の頭をなでるだけでも負荷がかかり、縛っている部分からずれていくため、長い髪が出て来てしまいます。
実際に伸びている人形の髪が約倍程度で止まっていることや、そのまま伸び続けて何mにもならないのは、このためだと言われています。
人形の髪が伸びるのは限界がありますが、人間の髪は伸びています。
しかし生えている髪には栄養は行き届きません。
なので、いかにダメージを与えないように、大事に大事にしていくしか髪をきれいに保つ秘訣はないのです。