赤ちゃんの髪が赤茶けてきた?!【フェニルケトン尿症】とは?!
生まれた時は普通の黒髪だったのに、生後数か月頃からなんだか髪が赤茶けてきた…というような場合、重要な病気が隠れているかもしれません。
目次
【フェニルケトン尿症】とは?
「フェニルケトン尿症」は難病指定されている疾患の1つで、常染色体劣性遺伝疾患です。
新生児8~10万人に1人程度の割合で発症すると言われており、全国では500人程度の発症患者がいるようです。
遺伝疾患なので両親がフェニルケトン尿症の保因者であるかどうかによって、発症する確率、また保因者になる確率は変わってきます。
アミノ酸の1種である「フェニルアラニン」が代謝されず体内に溜まってしまう病気です。
このフェニルアラニンが体内に溜まってしまうと「フェニルケトン」という物質が尿中に排泄されるため、このような病名がついています。
フェニルアラニンは肝臓でチロシンという物質に変換されるのですが、変換される際に必要な「フェニルアラニン水酸化酵素」が生まれつき欠如しているためにチロシンに変換されず、そのまま体内に溜まっていってしまうのです。
チロシンの不足は髪の色の元であるメラニン色素の合成を抑制してしまうため、髪の色が赤茶けてしまったり、肌の色も白くなって来てしまいます。
【フェニルケトン尿症】の症状とは?
新生児期には特に症状はないのですが、哺乳の時期からフェニルアラニンが蓄積され始め、生後1ヶ月~数ヶ月頃から症状が出始めます。
主な症状は次のようなものです。
●毛髪が赤茶けてくる
●肌が色白になる
●カビ臭・ネズミの尿に似た臭い
●湿疹
●けいれん
●発達障害
生後1ヶ月以内に治療を開始すれば、このような障害を防ぐことができます。
しかし治療を開始しないでいると、フェニルアラニンの蓄積により体内のアミノ酸バランスを崩してしまうため、子供の脳の発達に悪影響を及ぼしてしまい、知能の発達に障害を及ぼしてしまうのです。
特に1歳半程度までの知能発達障害が急速で、乳児期にはてんかんやけいれん発作、行動異常などを引き起こすことが多いようです。
発見するには?
検査が必要です。
新生児期に病院でガスリー検査というのを行います。
少量の尿を採取し検査紙による検査「マス・スクリーニング」により簡単に行われます。
発見後は早期に治療を開始します。
治療法
●「フェニルアラニン」摂取を制限する食事療法
「ロフェミルクS」「フェニルアラニン除去ミルク」「フェニトール」などの市販薬を生後3ヶ月以内に開始する。
フェニルアラニンの摂取をできる限り早く抑え始め、低たんぱく食にします。
上記のような特殊なミルクを使用し、他の不足するアミノ酸は治療用粉乳で補う食事療法を行います。
このような病気は子供の髪色の変化や体臭により、早期発見ができます。
もし少しでも心配であれば、保健師さんへのご相談や医療機関の受診&検査をおススメします。